久喜市に第2次地域福祉計画・地域福祉活動計画(素案)に対する意見をメール

本日、久喜市役所福祉部社会福祉課社会福祉係宛に、「地域で共に生きるナノ」としての「第2次地域福祉計画・地域福祉活動計画(素案)に対する意見」をメールしました。

 

メールした意見、参照資料、参考資料は以下の通り。

 

【意見1】

 もともと認知症は、高次脳機能障害の医学的定義において高次脳機能障害に含まれています。1) 2)

 今でも、「認知症に代表される高次脳機能障害」といった表現を使われる医療機関もございます。3)

 平成15年度に策定された高次脳機能障害診断基準によって、症状が進行する認知症は、行政的な定義での高次脳機能障害から除外されることになりました。4)

 とはいえ、認知症も高次脳機能障害も、国際疾病分類第10版(ICD-10)では、同じF0(症状性を含む器質性精神障害)に分類される器質性精神障害です。5)

 各地で、認知症と高次脳機能障害がきちんと鑑別できていないことが指摘されていますし、医師会によっては、認知症対策の対象に高次脳機能障害も含めているところもございます。6) 7) 8) 9)

 脳卒中の後遺症で高次脳機能障害となった方への支援に限っても、各種施策の横断的な連携が求められます。10)

 三郷市の認知症施策の対象には若年性認知症や高次脳機能障害も含まれております。草加市の認知症ケアパスには、若年性アルツハイマー病や高次脳機能障害のことも触れられております。11) 12)

 地域福祉計画は、高齢者、児童、障害者などの分野ごとの「縦割り」ではなく、住み慣れた地域で行政と住民が一体となって支え合う総合的な地域福祉に取り組む計画だと認識しております。

 第2次地域福祉計画・地域福祉活動計画(素案)に記されているように、認知症について、取り立てて計画に位置づけるのであれば、ICD-10で認知症と同じF0に分類される若年性認知症や高次脳機能障害についても第2次地域福祉計画・地域福祉活動計画の対象に位置づけて下さい。

 なお、埼玉県高齢者支援計画では、認知症施策のところで若年性認知症や高次脳機能障害についての記されていること、埼玉県地域福祉支援計画で地域包括ケアシステムのところなどで若年性認知症、高次脳機能障害の支援について記載されていることを申し添えます。13) 14)

 

【意見2】

 第2次地域福祉計画・地域福祉活動計画(素案)50ページ、61ページの「認知症高齢者対策の推進」。

 項目名を「認知症高齢者対策の推進」から「認知症高齢者等への対策の推進」に変更し、若年性認知症や高次脳機能障害も対象に含むものにして下さい。

 久喜市高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画においても、「認知症高齢者等への支援」という項目立てになっております。15)

 

【意見3】

 61ページの「認知症高齢者対策の推進」(「認知症高齢者等への対策の推進」)。

 具体的な計画の記述において、認知症だけでなく、若年性認知症や脳卒中の後遺症で高次脳機能障害となった40歳以上の方への支援についても触れてください。6) 8) 10) 12) 16)

 

 例えば、

「認知症に対する正しい理解を深めるため、講演会や認知症サポーター養成講座の開催、認知症ケアパスの冊子、市独自の認知症チェックシートの配布をし、市民への啓発活動を行います。また、保健・医療・福祉の関係機関と地域の連携によるネットワークを構築し、社協と連携して相談・支援体制の充実を図ります。」

 の部分を

「認知症、若年性認知症、(脳血管疾患の後遺症による)高次脳機能障害に対する正しい理解を深めるため、講演会や認知症サポーター養成講座の開催、認知症ケアパスの冊子、市独自の認知症チェックシートの配布をし、市民への啓発活動を行います。また、保健・医療・福祉の関係機関と地域の連携によるネットワークを構築し、社協と連携して相談・支援体制の充実を図ります。」

 とするなど、若年性認知症や高次脳機能障害についても触れた計画にして下さい。

◆参照資料

 

1) 高次脳機能障害とは

http://www.f-gh.jp/koujinou/koujinou1.htm

 医学的、学術的な定義では、高次脳機能障害は、脳損傷に起因する認知(記憶・注意・行動・言語・感情など)の障害全般をさしていました。例えば、言語の障害である「失語症」や道具が上手く使えなくなる「失行症」、知的な働きや記憶などの働きが低下する「認知症」のほか、「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」などが含まれます。

 

2) 高次脳機能障害の精神障害者保健福祉手帳および自立支援医療(精神通院医療)申請用診断書記載方法等について

https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/06/1371703039.pdf

 高次脳機能障害の医学的、学術的な定義としては、脳の器質的変化に伴って生じた機能障害の中で、運動、感覚、および自律神経機能を除いた高次の脳機能(注意、見当識、記憶、人格感情、遂行機能など)の障害全般をさしており、「失語症」、「失行症」、「認知症」のほか、「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」などが含まれます。

 

3) 人間ドックご案内 籠原病院(熊谷市)

http://kagohara-hospital.net/wp-content/uploads/dock-panf-no1.pdf

 認知症に代表される高次脳機能障害の検査なども同時に行います。

 

4) 高次脳機能障害支援モデル事業の解説

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n285/n285002.html

 アルツハイマー病に代表される進行性疾患も別の支援体制が組まれるべきであるという観点から除外項目に入れられています。

 

5) 自立支援医療(精神通院医療)について

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/03.pdf

 ①症状性を含む器質性精神障害(F0)

 (例)高次脳機能障害、認知症 など

 

6) 「かかりつけ医機能ハンドブック」2009 東京都医師会

http://www.tokyo.med.or.jp/kaiin/handbook/linkdata/358-375.pdf

 高次脳機能障害と間違えられやすい脳の全般的な障害として、せん妄と認知症が挙げられる。

 

7) 平成25年度第5回練馬区介護保険運営協議会会議要録

http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/kaigi/koreisha/kaigohokenunei/dai5ki/5kaigounkyou.files/5-kaigiyouroku.pdf

 一見認知症のように見えるが、実は高次脳機能障害ということもある。練馬区介護サービス事業者連絡協議会の通所介護分科会では、年に数回、事例検討会を開催しているが、高次脳機能障害のケースは若年性認知症よりも多いと思う。

 

8) ひょうごの福祉 2014年4月号

http://www.hyogo-wel.or.jp/dl/2014_04.pdf

 権利擁護部会(3月10日開催)での意見から

  ○若年性認知症は高次脳機能障害と混同されやすい。

   医療関係者が診断基準を勉強する機会も必要ではないか。

 

9) 秋田県医師会における認知症への取り組み―秋田県医師会―

http://www.med.or.jp/nichiionline/article/003961.html

 秋田県医師会は、増加の一途をたどる認知症患者を各科の医師が協力して支える全県的な医療システムの構築を目的として、平成19年に認知症等診療ネットワーク委員会を立ち上げた。「等」を入れたのは高次脳機能障害の患者も含めるためであった。

 

10) 高次脳機能障害者地域支援ハンドブック(改定第3版)

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/tosho/hakkou/pamphlet/kojinohandbook.files/2016-6shou.pdf

 40歳以上の脳血管疾患の高次脳機能障害者は、サービスの内容や機能から障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、基本的に障害者総合支援法による給付よりも介護保険制度が優先されますが、申請者の心身の状況等により、障害福祉サービスの利用が可能な場合もあります。なお、介護保険制度にない障害福祉サービス(例えば行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)については、障害者総合支援法のサービスが利用可能です。また、40歳以上65歳未満の医療保険未加入者で、特定疾病により介護が必要になった方が、生活保護を受けている場合は障害者施策が優先されます。

 

11) 第6期三郷市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画

http://www.city.misato.lg.jp/secure/19243/⑤三郷市高齢者計画原稿(第4章).pdf

 急増している認知症高齢者を早期に発見し、医療や介護保険サービスに結び付けられるように、地域の方やさまざまな担い手と連携して、認知症の方や高次脳機能障害の方が安心して生活できる地域づくりを推進します。

【実態把握・初期相談】

・見守り活動を実施している民生委員や地域の方から認知症の方や若年性認知症、高次脳機能障害の方など心配な高齢者の連絡を受け、訪問等により必要な支援に結び付ける相談支援を行います。

【周知啓発活動】

・広報紙、情報紙の発行、市ホームページなどにより、認知症や高次脳機能障害に対する知識の周知と、相談窓口など認知症高齢者を支援するために必要な情報を提供し、正しい理解と予防につなげます。

【認知症施策推進事業】

・認知症地域推進員の養成と配置を行い、認知症の方や高次脳機能障害の方が安心して地域で生活できるよう、相談に応じ介護サービス等の調整を行います。また、認知症の方と家族の支援として、認知症カフェの開催や地域での見守り活動等を推進します。さらに、若年性認知症や高次脳機能障害についての周知活動や、居場所づくり、介護サービス等の情報提供など、支援体制を推進します。

【徘徊高齢者等SOSネットワーク事業】

・認知症の方や高次脳機能障害の方など、徘徊する高齢者の安全な生活を守るため、関係協力事業者等に徘徊高齢者の情報を一斉連絡し、徘徊高齢者の早期保護と不慮の事故を防止します。

【介護マークの普及】

・認知症の方や高次脳機能障害の方などについて、周囲の方の理解を図るためのカードを配布します。 

 

12) 認知症ガイドブック 草加市

https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1502/a06/a01/keapasuH28.5.20.pdf

 ・精神障害者保健福祉手帳(若年性アルツハイマー病や高次脳機能障害等)

 

13) 埼玉県高齢者支援計画

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0603/koureikeikaku/documents/dai6ki.pdf

4 認知症施策の推進

(4) 若年性認知症等への支援

 若年性認知症や、脳血管疾患の後遺症による高次脳機能障害などに対する事業所や一般県民の理解の促進を図るとともに、本人や家族に対する相談体制の整備・充実に努めます。

 

14) 埼玉県地域福祉支援計画

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0601/sienkeikaku/documents/04keikaku_all_.pdf

第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり

 1 地域包括ケアシステムの考え方を応用した支援機能の拡充と地域の福祉力との統合

 【県の取組】

 ○若年性認知症の人や高次脳機能障害者の自立支援のため、医療関係者、介護事業者、介護者、関係行政機関等によるネットワーク会議を開催するなど地域での支援の在り方などを検討します。

第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり

 1 地域福祉の場・拠点づくりの促進

 【県の取組】

 ○電話等相談窓口の設置や交流集会の開催などにより、認知症高齢者、若年性認知症の人や高次脳機能障害者とその家族及び介護者などを支援します。

 

15) 久喜市高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画

http://www.city.kuki.lg.jp/shisei/seisaku_keikaku/plan/hukushi/korei-6nokaigo.files/04-02.pdf

2 認知症高齢者等への支援

 (略)

 さらに、認知症高齢者や初老期認知症の方を介護している家族の身体的・精神的負担の軽減を図るとともに、認知症高齢者や初老期認知症の方の在宅生活の継続及び生活の質の向上を図ることを目的として、地域における見守りや認知症を理解し、認知症の人や家族を温かく見守る「認知症サポーター」を養成するなど、地域における認知症の人の見守りや家族への支援を推進します。

 

16) 高次脳機能障害について 所沢市

http://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kenko/kokoronokenko/kokorononayami_yamai/koujinokinousyogai/higherbrain.html

東京都による調査からわかったこと

・女性よりも男性が多い

・60歳以上の人が全体の67.2%

・発症原因は脳血管障害が全体の81.6%、脳外傷が10.0%

◆ご参考

 

○主治医意見書記入の手引き

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0609/riyouhouhou/documents/tebiki.pdf

特定疾病の症候・所見のポイント

脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)

注)高次脳機能障害については、言語・思考・記憶・行為・学習・注意障害等が生じ、社会生活をさまたげることが多いが、外見からは分かりにくく、注意が必要である。 

 

○国民年金・厚生年金保険 診断書(精神の障害用)の記載要領

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000130041.html

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000130048.pdf

【注】この記載要領では、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」を《精神障害》としてまとめ、《知的障害》《発達障害》とは別に区分しています。

 「症状性を含む器質性精神障害」(認知症、高次脳機能障害など)は、記載欄ごとに掲げた《精神障害》《知的障害》《発達障害》の留意事項のうち類似するものを参考にご記入ください。

 

 ○衆議院議員山本孝史君提出高次脳機能障害に関する質問に対する答弁書

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/b144013.htm

 高次脳機能障害を有する者のうち六十五歳以上の者(六十五歳未満の者であって特に必要があると認められるものを含む。)であって、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものについては、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)に基づく居宅における介護等の措置その他の施策の対象となる。また、高次脳機能障害を有する者のうち公的医療保険の加入者については、七十歳以上である場合又は六十五歳以上七十歳未満で老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)の定めるところにより一定程度の障害の状態にある旨の市町村長の認定を受けた場合は、同法に基づく医療の給付の対象となる。

 なお、平成十二年四月一日に施行される介護保険法(平成九年法律第百二十三号)においては、六十五歳以上の要介護状態等(同法第七条第一項に規定する要介護状態及び同条第二項に規定する要介護状態となるおそれがある状態をいう。以下同じ。)に該当する高次脳機能障害を有する者又は四十歳以上六十五歳未満の要介護状態等に該当する高次脳機能障害を有する者であってその要介護状態等の原因である身体上若しくは精神上の障害が同条第三項第二号に規定する特定疾病である初老期における痴呆、脳血管疾患等によって生じたものであるものについては、同法に基づく介護給付又は予防給付を受けることができることとなる。

 

○高次脳機能障害者の支援に関するアンケート

http://www.hwc.or.jp/rihacenter/pdf/koujinou-questionnaire2015.pdf

兵庫県内居宅介護支援事業所と地域包括支援センターにおける高次脳機能障害者、とりわけ介護保険第2号被保険者の支援に関する調査

【まとめ】

 今回のアンケートから、障害福祉関係事業所と何らかの連携したことがある事業所は30%にとどまっており、県内において連携がすすんでいるとは言い難い。

 高次脳機能障害に対する支援は、個々により症状が異なり、その当事者の生活歴や家庭状況、経済的背景等により対応に困っているという意見が多く見られた。特に第2号被保険者については、年齢的なことや発症までの社会生活もあり、うまく支援につながらないことが多い。「介護保険サービスにないサービスを障害福祉サービスで補えたことで、本人の生活意欲や活動範囲の拡大につながった」という意見もあったように、介護保険サービスだけで支援するのではなく、障害福祉サービスを含め、総合的な支援が必要になると思われる。

 

■以下、西東京市議会の会議録より高次脳機能障害についての市長答弁を一部抜粋

市長(丸山浩一君) 平成27年第1回西東京市議会定例会(平成27年3月2日)

 次に、高次脳機能障害への対応についてお答え申し上げます。高次脳機能障害につきましては、脳出血、脳梗塞等の疾病や、交通事故等の外傷により脳が損傷し、記憶、言語、注意障害等を起こすもので、高次脳機能障害のある方は全国で50万人以上いると伺っております。本市におきましては、保谷障害者福祉センター利用者約100人のうち、高次脳機能障害の対応を必要とする方が4割を超えるという現状がございます。保谷障害者福祉センターでは、各利用者に対し週2回、理学療法、作業療法、言語療法等のリハビリテーションを行っておりますが、特に40代、50代の脳血管障害を起因とする高次脳機能障害の方が年々増加している状況でございます。このような中、本市では平成27年度より高次脳機能障害者支援促進事業を開始し、ふえ続ける高次脳機能障害者に対応する支援を強化したいと考えております。この事業は、本人及び家族等に対する相談支援を実施するとともに、医療機関、就労支援センター等の関係機関との連携を図り、また、社会資源の開拓や広報、普及啓発等、高次脳機能障害者に適切な支援を提供するもので、具体的には保谷障害者福祉センターに高次脳機能障害者支援員を配置し、実施する予定でございます。昨年6月に市内に高次脳機能障害者を対象とする就労継続支援B型作業所が開設したこともあり、今後就労支援センター等と連動した支援の充実を期待しているところでもございます。

◯市長(丸山浩一君) 平成28年第1回西東京市議会定例会(平成28年2月29日) 

 次に、高次脳機能障害者の対応についてお答えします。保谷障害者福祉センターでは今年度より高次脳機能障害者支援員を配置し、高次脳機能障害のある方及び家族等に対する相談支援を実施するとともに、関係機関との連携等により高次脳機能障害者に対する支援の充実を図っております。一方で、医療機関からの退院後に福祉につながらずに結果として社会生活への順応がうまくいかず、困難を抱えている高次脳機能障害者の方が少なからずいらっしゃることが相談事例からわかってまいりました。こうした課題を解決するため、医療機関の相談室等との連携をさらに深め、地域に退院してくる御本人や御家族からの早期相談、自宅や職場訪問等による課題認識によって潜在的ニーズを掘り起こし、福祉の視点からの支援方法の提案や適切な支援機関等との連携・連動によって切れ目のない支援を実施してまいります。