若年性認知症支援施策についての国の対応方針

内閣府のホームページで、平成28年12月20日に閣議決定された「平成28年の地方からの提案等に関する対応方針」が公開され、若年性認知症については、以下の方針が示されました。

 

(27)若年性認知症施策総合推進事業実施要綱

 若年性認知症支援コーディネーター設置事業については、実施主体に指定都市を加えることについて検討し、平成28年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

 

提案に関する各府省との最終的な調整結果として、以下のような情報も公開されています。

 

◆提案事項(事項名)

 若年性認知症支援コーディネーターの配置に係る権限の指定都市への移譲

 

◆提案団体

 広島市

 

◆制度の所管・関係府省

 厚生労働省

 

◆求める措置の具体的内容

 「若年性認知症支援コーディネーター(以下、コーディネーターという。)」を指定都市でも設置できるよう権限移譲を求める。

 

◆具体的な支障事例

 若年性認知症は、いわゆる現役世代が発症するが、若年性認知症に対する認識が不足し、診断される前に症状が進行し社会生活が事実上困難となるケースや、活用可能な福祉や雇用の施策があまり知られていないことなどから、経済的な面も含めて本人とその家族の生活が困難になりやすいとされている。

 これらの問題点を解消し、若年性認知症の人やその家族等からの相談及び支援に携わる者のネットワークを構築するため、平成28年度から都道府県を実施主体としてコーディネーターを配置し、若年性認知症の特性に配慮した就労継続支援や社会参加支援等を推進する「若年性認知症支援コーディネーター設置事業」が制度化されたが、都道府県の同事業への取組は低調であり、未設置の県が多い。また、仮に設置したとしても、限られた人員で広域を担当するため、各地域の実情を踏まえた医療、介護、福祉、雇用等のネットワーク構築が困難であり、面談や、医療機関・就労相談への同行といったきめ細かい支援の展開も困難である。

 このため、コーディネーターの配置に係る権限について、指定都市に移譲することを提案する。

 

◆制度改正による効果(提案の実現による住民の利便性の向上・行政の効率化等)

 若年性認知症を含めた認知症施策を指定都市が総合的かつ主体的に実施することができるため、指定都市が設置する地域包括支援センターや「認知症地域支援推進員」と密接に連携したきめ細かい支援の展開が可能になり、住民サービスの向上につながる。

 

◆根拠法令等

 若年性認知症施策総合推進事業実施要綱

 (平成26年7月9日老発0709第3号認知症施策等総合支援事業の実施について別添3)

 

◆追加共同提案団体及び当該団体等から示された支障事例(主なもの)

 横浜市、名古屋市

○いわゆる「現役世代」で発症する若年性認知症は、就労継続など高齢者の認知症とは異なる様々な深刻な問題が存在する。本市においては、県単位よりも身近な市単位で、市内に約1,000人いると推計される若年性認知症の方やその家族からの相談に対応し、関係機関との連携等による支援を実施する必要があると考え、平成

25年10月より市の認知症相談支援センターに専門職員を配置している。

 しかし、若年性認知症施策総合推進事業実施要綱にある「ネットワーク会議の設置」や「企業関係者等への研修」についても本市での実施が必要であると考えるが、現状の体制では財源不足等の理由で実施できないといった問題がある。若年性認知症コーディネーターを指定都市でも設置できるように権限委譲することによって、市域の実情をよく知る若年性認知症コーディネーターが、本人や家族にとって身近な地域で支援体制づくりを推進することができると考える。

○若年性認知症は、他の認知症に対し、対象者が少なく、支援制度・窓口共に限られており、医療機関で若年性認知症の診断を受けてから、実際の支援につながるまでの間に空白期間が生じていることが課題となっている。

 都道府県を実施主体として、若年性認知症コーディネーターの設置が進められているものの、政令市を含む都道府県では担当範囲が広域なため、各地域の実情に応じた支援、ネットワークの構築等は非常に困難である。こうした課題を解決し、若年性認知症の人及び家族を支援するため、若年性認知症支援コーディネーターの配置に限らず、相談窓口・体制、支援施策の充実に向けた措置が必要だと考える。

 

◆各府省からの第1次回答

 若年性認知症支援コーディネーターは予算事業であり法令上の位置づけられた事業ではないため、市区町村が各自治体の財源を活用して設置することが可能である。

 なお、地域包括ケアの観点から、若年性認知症施策は市町村単位で実施していくことが望ましいものであると考えるが、全国でも3.8万人とその有病者が多くないことを踏まえ、市町村単位ではなく、まずは都道府県単位でその施策を進めていくことが適当であると考えている。認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)においても、「若年性認知症施策の強化」を柱の一つとして掲げており、具体的には若年性認知症の人の自立支援に関わる関係者のネットワークの調整役を担う者(若年性認知症支援コーディネーター)の配置を含めて、平成29年度末までにすべての都道府県において若年性認知症施策総合推進事業を実施することとしている。

 

◆各府省からの第1次回答を踏まえた提案団体からの見解

 若年性認知症支援コーディネーターの設置は、「早期の段階からの適切な診断と対応、認知症に関する正しい知識と理解に基づく本人や家族への支援などを通して地域単位での総合的かつ継続的な支援体制を確立していくこと」を念頭に、認知症施策等総合支援事業の中の1事業に位置付けられているものである。その趣旨に鑑みれば、認知症疾患医療センター運営事業等と同様に、指定都市を実施主体に位置付け、指定都市として一貫した認知症総合対策が実施できるよう、制度化すべきである。

 認知症施策等総合支援事業の他事業においては、道府県と指定都市が共に事業の実施主体とされ役割分担がされているにもかかわらず、本事業に関しては、法令上の位置付けがないために、都道府県には予算措置するものの、指定都市については予算措置しないという状況を放置するならば、当該認知症施策等総合支援事業そのものの適切な役割分担と事業の執行が困難となる。

 なお、「全国でも有病者が多くない」ことをもって都道府県単位で施策を進める根拠とされているが、指定都市は道府県の中でも一定の人口、面積を占めており、若年性認知症の有病者数は一部の県より多い場合もあると思われることから、指定都市へのコーディネーターの配置により、早急に支援体制を充実・強化する必要があると考える。

 

◆各府省からの第1次回答を踏まえた追加共同提案団体からの見解

 -

 

◆全国知事会・全国市長会・全国町村会からの意見

 【全国知事会】

  関係する都道府県の意向を踏まえた上で、手挙げ方式による検討を求める。

 【全国市長会】

  提案団体の意見を十分に尊重されたい。

 

◆各府省からの第2次回答

 認知症施策等総合支援事業における各事業の実施主体については、各事業の趣旨を考慮して実施主体を決めているものであり、若年性認知症施策総合推進事業同様都道府県が実施主体となっているものは他の事業にも存在している。

 若年性認知症施策総合推進事業については、今年度より新たに若年性認知症支援コーディネーター設置事業を新設したものであり、これは認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)に基づき平成29年度末までに都道府県単位で設置していくこととされていることから、まずは都道府県単位で網羅的にカバーできるように進めていきたいと考える。

 ただ、指定都市については見解のとおり一定の人口・面積を有していることから、本件については実施要望がある指定都市も実施主体に含めるよう検討してまいりたい。

 

◆平成28年の地方からの提案等に関する対応方針(平成28年12月20日閣議決定)記載内容

6【厚生労働省】

(27)若年性認知症施策総合推進事業実施要綱

 若年性認知症支援コーディネーター設置事業については、実施主体に指定都市を加えることについて検討し、平成28年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。