熊谷市議会での高次脳機能障害についての質疑応答

6月15日に開かれた熊谷市議会定例会。

 

一般質問で高次脳機能障害のことを取り上げていただきました。

 

議事録が公開されましたので、高次脳機能障害に関する部分の質疑応答を、以下に転載。

 

◆守屋淳議員

 

 11番、守屋淳です。皆様、こんにちは。ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告の順に従いまして一般質問を始めさせていただきます。

 大きな1番、高次脳機能障害の支援と連携について。私は、14年前、息子様が交通事故をきっかけに高次脳機能障害となった御家族の話を伺っていました。当時は、高次脳機能障害という病名も定まっておらず、御家族であらゆる角度から支援の手を探し求め、御苦労を重ねられておりました。交通事故からけがは回復していくのに、それまでの性格や生活が突然変化していくさまに御家族は戸惑い、一過性の症状でありますようにと、社会復帰できることを祈っておりました。明らかに障害を持ったにもかかわらず、医療からも行政からもその糸口さえも示されず、平等で適切な支援が得られない現実の葛藤は、筆舌に尽くせぬ様子でありました。時代は変われど病気やけがはいつ発生するかわかりません。本市においてそのような当事者やその御家族が途方に暮れないために、今後どのように支援策を講じていけばよいのか。また、横断的な連携の構築をなしていけばよいのか、皆様と考察してまいりたいと思います。

 それではまず、高次脳機能障害について説明いたします。脳卒中などの病気や事故による頭部のけがなどが原因となり、脳が部分的に損傷を受けたことで見られる後遺症です。昨今では熱中症から発症した事例もあります。主な認知障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害が挙げられます。具体的には、ある日突然何事にもやる気がなくなり、人がかわったように怒りっぽくなったり、さっき言われたことを忘れてしまったり、同じ間違いを何回も繰り返したりなど、知的な機能に変化が起きて日常生活に支障を来します。周りの人たちから見て不可解な言動を起こした状態が高次脳機能障害であります。本人の自覚がないことも多く、見えにくく捉えにくい障害とも言われております。さまざまな障害があり、その症状は日によっても異なります。症状の特徴として、外見上は障害が目立たない、本人が障害を十分に認識していないことがある。障害の出現は、病院よりも日常生活や社会活動(職場、学校、買い物、役所や銀行などでの手続、交通機関利用)など、そのような場面であらわれます。医療関係者に見落とされやすく、周囲の理解度も低い傾向にあり、本人や家族の負担は大変に大きいものとなっています。そのため、御本人や御家族、周りの人はどうしたらいいのだろうと混乱し、不安で経過されることを御理解いただきたいと思います。

 さて、国が示してきた経緯ですが、認知症を痴呆症と言われていた時代の厚生労働省痴呆対策推進室の記録では、高次脳機能障害と脳血管性痴呆を明確に区分する整理はされておらず、一部重なっている可能性も高いが、実際的には進行性のものが痴呆であり、非進行性のものが高次脳機能障害として捉えることが実態に近い区分であると考えられるとの記述がありました。高次脳機能障害は外見から判断しにくく、どこまでが正常でどこからが異常か、明確な区分けが困難なことから、長い間医療や福祉の現場で見過ごされてきた現状があります。このような状況を問題視した厚生労働省は、平成13年から5年間、高次脳機能障害支援モデル事業を国の施策として実施し、診断基準を作成して現在に至っております。平成18年より都道府県事業へ移行し、埼玉県リハビリセンターが中心となって支援普及事業を進めてきましたが、残念ながら各市町村での支援計画の進捗には大きな隔たりがあります。本市におきましては、大里広域での連携も関係してか、余り進んでいないのが現状と考察いたします。

 それでは、国が示した判断基準とは、先ほどお話ししました主な4つの認知障害の非進行型を高次脳機能障害と呼び、進行型が認知症と判断しています。血管性認知症は、高次脳機能障害として捉えてよいとの見解も示され、高次脳機能障害や認知症は脳の病気であるが精神障害となり、器質性精神障害と分類されます。しかし、認知症は介護保険関係の法律や事務文書に明記されているのに対し、高次脳機能障害は当初事務文書にも特に明記されていなかったため、支援から漏れてしまっている現状でありました。そのような現状から国は、平成18年10月に施行された障害者自立支援法には市町村が地域生活支援事業において高次脳機能障害支援普及事業の支援を受けながら、高次脳機能障害の特性に応じたサービスを提供できるよう支援策を整備していくことを示しております。

 さて、本市において高次脳機能障害と診断された方の数は、推定で何人いらっしゃるのでしょうか。厚生労働省社会援護局障害保健福祉部が平成23年に調査した結果の発表では、全国で42万2,000人と推計され、障害者手帳を所持している割合が65.9%と発表しています。人口が1万人いれば診断された方は30人で、手帳につながる方が20人となる計算です。本市の人口20万人では、診断された方が400人、手帳につながる方が240人との算出です。5月23日のさいたま市の記者発表で、127万都市のさいたま市では、同障害が推定で約5,000人該当との記載がありました。参考までに、本市では6分の1計算で800人強です。平成20年、東京都の調査では、都内に約5万人該当すると推計されています。当事者と家族の目線で考察いたしますと、本市でも相談場所がわからず、将来の不安を大きく抱えながら自宅でひきこもりがちになる方や、諦めて経過した生活を余儀なくされている現状もあるのではないでしょうか。現在、本市におきまして熊谷市障害者計画に高次脳機能障害が明記されたのみの啓発でとどまっております。

 私は、以上のような現状を踏まえた上で、現場の声を確認するために調査を開始しました。本年2月27日、さいたま市大宮区役所障害者更生相談センター内にて高次脳機能障害地域相談会が開かれ、当事者、御家族、支援者、行政が交流しての情報交換の場を視察させていただきました。その会へ初めて参加された家族は、発病からどこに相談してよいのか全くわからず、悩み、苦しみ、当事者の生活の変化を涙ながらに話しておりました。そして、同じような症状で同苦してくれる方、家族が支えるポイントなど、当事者同士であるからこそ意見交換は大変に有意義な内容でありました。また、行政と支援者側は、可能な支援の提案や課題を模索し、切れ目のない環境整備支援を進めていこうとの気概を感じました。当事者同士の交流の場は、非常に大事であると考察いたしました。

 次に、先進的に勉強会や講演会を開催し、理解を深めていく啓蒙活動や支援等に取り組む群馬県を調査し、「学ぼう!高次脳機能障害初心者入門講座」や、「高次脳機能障害支援、医療から生活まで」のシンポジウムに参加させていただき、医学的見解や支援ネットワークの現状、そしてNPO法人の家族の会からの地域報告などを伺いました。調査の総括的な感想ですが、発病から支援につながるまでの早期発見、そして横断的な連続した切れ目のない支援ネットワークによる早期治療が構築されれば、必ず救われるということがよく理解できました。高次脳機能障害は、決して難しい病気ではないことを私たち一般市民の皆様も含めて学ぶ機会をふやしていく、そして啓発が何よりも大事なことだと改めて学ばせていただきました。そこで、何点か質問させていただきます。

 質問のアとして、高次脳機能障害と診断された方は、およそ何人いるか伺います。

 質問のイとして、現在の相談窓口は、どこでどのように対応し、各関係機関につなげているか伺います。

 質問のウとして、担当職員、また関係機関側の高次脳機能障害に関する認識と研修等はどのように進めているか伺います。

 質問のエとして、市民の皆様への周知や啓発などは、どのように行っているか伺います。

 質問のオとして、障害福祉、障害児福祉、介護保険事業計画の策定の際に、高次脳機能障害の文言を明記すべきであると考えますが、本市の見解をお聞かせください。

 質問のカとして、県リハビリセンターとの連携並びに支援体制の現状について伺います。

 質問のキとして、地域相談会の開催計画をどのように考えているかお聞かせください。

 最後の質問ですが、群馬県前橋赤十字病院が作成した「ぐんま高次脳機能障害あんしんブック」や鴻巣市内の鴻巣病院が昨年県の事業を受けて作成した「わたしの手帳」、以上2冊の冊子についてですが、先日執行部には資料提供させていただきました。この2冊の冊子は、診断の相談から就労支援などを含め長期的な見通しが立てやすい冊子となっています。当事者や家族は、経過や既往歴を忘れやすい傾向にあります。診断後、その都度記入しておくことで、障害年金受給申請等の際に日ごろの生活障害を理解していただけ、手続が円滑に行きやすいメリットがあります。

 そこで、質問のクとして、「ぐんま高次脳機能障害あんしんブック」や「わたしの手帳」を参考に、熊谷版を作成する提案について、本市のお考えを伺います。

 

◎野中詔子福祉部長

 

 続きまして、御質問1、高次脳機能障害の支援と連携についてお答えいたします。

 高次脳機能障害と診断された方の人数は把握しておりませんが、脳梗塞などと診断された方の中に高次脳機能障害の診断を受けている方が多くいるものと考えております。したがいまして、高次脳機能障害をお持ちの方は、その原因となった脳梗塞やけがなどにより、既に障害の認定を受け、障害福祉サービスを利用していることが多い状況であり、高次脳機能障害のみを理由として相談に来られた方は、平成28年度59件でございました。また、同様に、この障害を理由にサービスを利用している方は、現在3名です。相談窓口につきましては障害福祉課となり、相談支援事業所やサービス提供事業所につなげています。

 次に、この障害に対する研修等でございますが、高度な専門性を伴う支援が必要と認識しておりますことから、研修につきましても埼玉県の研修等を活用し、理解を深めてまいりたいと考えております。

 次に、市民への周知や啓発でございますが、市のホームページを活用して情報を発信するとともに、埼玉県や国立リハビリテーションセンターのホームページを御紹介しております。

 次に、各種計画における位置づけに関しましては、昨年度策定した熊谷市障がい者計画におきまして、高次脳機能障害について新たに明記したところです。計画の種類によっては、サービスの提供量などを定めるものもあり、障害名を記載することがなじまない計画もありますことから、適宜検討していきたいと考えます。

 次に、埼玉県リハビリテーションセンターとの連携でございますが、センター内に設置されている埼玉県高次脳機能障害者支援センターと連携し、引き続き必要な支援が受けられるよう対応してまいります。

 次に、地域相談会は、埼玉県の事業をNPO法人が受託して実施しているもので、同じ障害を持った同じ立場にある仲間同士で行われるカウンセリングは、当事者や家族にとって有意義なことであると考えております。

 最後に、「高次脳機能障害あんしんブック」熊谷版の作成でございますが、埼玉県が作成している各種のリーフレットと障害を持つ方に現在活用いただいておりますサポート手帳を組み合わせることで対応していきたいと考えております。

 

◆守屋淳議員

 

 11番、守屋です。それぞれの質問に御答弁いただきました。それでは、大きな1番、高次脳機能障害の支援と連携について再質問させていただきます。

 御答弁から大変気になりますので、初めに確認のためお聞きいたします。御答弁で高度な専門性を伴うという表現をされましたが、果たして高次脳機能障害はそんなに難しく難易度が高い病気なのでしょうか。私は、群馬県で開催されたシンポジウムに参加した際に、医者から解剖学的視点で見る高次脳機能障害の話を聞きました。決して難しくない病気であり、認知症よりも進行性がなく、回復する位置にある認知障害です。病気を判断するさまざまな評価テストなども認知症と全く同じことを行います。定義は、認知症と同じで診断基準も同様であるとの見解が現在の見識です。

 そこで、再質問の1として、どの点が高度なのか、詳細をお聞かせください。

 

◎野中詔子福祉部長

 

 お答えいたします。

 高次脳機能障害は、既存の身体障害や精神障害の福祉制度やサービスの中で障害の程度、生活環境、年齢や家族状況などに応じて多岐にわたる支援を行うことになります。複数の症状があらわれたり、日ごとに症状が違う当事者から細かな情報を聞き取り、ニーズに応え、適切な支援に結びつけていくためには、障害に関する知識だけではなく、医療、介護、就労等、幅広い専門的知識が必要になっております。

 以上でございます。

 

◆守屋淳議員

 

 11番、守屋です。ありがとうございます。

 次に、厚生労働省の推定数と相談件数の現状を勘案するとかなりの開きがあります。脳梗塞やけがが起因として障害福祉サービスを受けている方以外で高次脳機能障害のみの数を想像すると、まだまだ漏れている方々が存在するのではないでしょうか。

 そこで、再質問の2として、厚生労働省の推定数と相談件数を参考にしての現状をどのように見ているか、御見解をお聞かせください。

 

◎野中詔子福祉部長

 

 お答えいたします。

 厚生労働省の推定数の多くは、今議員さんがお話しされたように、原因となった脳梗塞やけがなどを理由に、既に障害福祉サービスを受けている場合もあると考えられます。また、これらの治療で通院している医療機関に相談されている方も多いことが推測され、障害福祉サービスを受けている方以外でも直接医療機関から介護や就労などの各種サービスにつながっている場合も多いと考えております。

 以上でございます。

 

◆守屋淳議員

 

 11番、守屋です。最後になりますが1点、熊谷市ホームページに情報を発信している内容を確認させていただきました。その中で、受けられる支援に自立支援医療と障害福祉サービスと掲載されております。具体的な概要をお聞かせください。

 最後の再質問の3として、自立支援医療の詳細と障害福祉サービスを受けるための基準を伺います。

 

◎野中詔子福祉部長

 

 お答えいたします。

 自立支援医療は、継続して精神科の通院治療を受けている方に対して、窓口支払いの際に所得に応じて自己負担額を軽減するものでございます。また、障害福祉サービスは、障害者手帳をお持ちの方、精神障害を事由とする年金を受給している方、自立支援医療を受給している方などが障害福祉課にて申請をし、原則的には介護給付費等支給審査会において障害支援区分を認定した上で、サービスごとの上限となる基準支給料を決定しております。

 以上でございます。

 

◆守屋淳議員

 

 3点にわたりまして再質問させていただきました。了解いたしました。ありがとうございます。最後に要望を述べさせていただきます。

 初めに、高次脳機能障害の起因となる統計の中で、脳卒中からが81.6%、脳外傷が10%とのデータがあります。そこで、病院等と連携を図り、脳卒中患者から支援策を講じていくと該当者推計数や今後の対策が見えてくるのではないでしょうか。そのネットワークからほかの原因となる患者様や当事者もつながり、救われる可能性があると考えます。ぜひ調査研究をお願いいたします。

 次に、症状の既往等が記入できるこのサポート手帳の活用は、答弁にありましたが、障害手帳等の申請並びに審査会の重要な参考資料になると改めて考察をいたします。ぜひ次の支援、そして社会復帰に向かうための羅針盤的サポート手帳の検討をよろしくお願いいたします。

 次に、各種基本計画についてですが、参考までに、三郷市や鳩山町の高齢者保健福祉計画に「高次脳機能障害」という文言が入っております。久喜市では障害者福祉計画と高齢者福祉計画に「高次脳機能障害」の文言が入っております。どうかほかの自治体の事例を参考にしていただいて、今後さらなる各部連携した対応となりますように調整等を図っていただき、十分な理解とともに適切なサービス提供が盛り込まれる基本計画となりますことを切に願うものであります。

 さらに、計画に関連しますが、認知症支援施策と高次脳機能障害支援施策の2つの施策が連携していく形でいきますと、認知症、若年性認知症、高次脳機能障害の人を漏れなく救うことが可能となるのではないでしょうか。連続した支援の提供ができるように、どうかよろしくお願いをいたします。

 先日、本市で活動する自立支援担当者より現場の声を伺うことができました。支援に携わる方々が、まだまだ高次脳機能障害に関する知識が浅い人が多く、基礎的な勉強会が必須である旨の御意見をいただきました。そのことを踏まえ、障害を持った方々の全ての人々が迷うことなく適切なサービスを受けられるために、埼玉県リハビリセンターと共同し、幅広い支援関係者に対する研修や地域住民への普及啓発等の実施を通して、より一層の高次脳機能障害に対する理解の促進にどうかどうか努めていただくことをお願い申し上げます。それが本市の取り組みがそこから加速することを望みます。そして、熊谷市が先進的施策を発信していくことで、深谷市、寄居町を含む2市1町の大里広域でのシステム構築を目指していただきたいと切に願いまして、お願いを申し上げます。

 最後になりますけれども、熊谷市だからこそ丁寧な支援施策を進める大きな理由があります。それは、ラグビータウンくまがや、スポーツ熱中都市くまがや、暑さ対策日本一と、内外に発信しているからこそ熱中症、ラグビーなどのスポーツでの脳振盪から高次脳機能障害を発症する場合も考えられます。未来の宝であります子供たちを守るためにも、国の制度設計に呼応する施策の本腰を入れた推進を心からお願いを申し上げまして、大きな1番、高次脳機能障害の支援と連携についてを終わらせていただきます。