若年性認知症に関する質問主意書・答弁書

衆議院議員木錬太郎氏が5月31日出した「若年性認知症に関する質問主意書」に対する答弁書が公開されました。

 

この質問主意書と答弁書は、以下の通り。

 

若年性認知症に関する質問主意書

平成30年5月31日

 

 安倍内閣総理大臣は、平成二十九年十一月二十日の衆議院本会議における玉木雄一郎議員の質疑に対し、「認知症は誰もがかかわる可能性のある身近な病気です。認知症の方ができる限り住みなれた地域で暮らすことができる取り組みを進めていくことが必要です。このため、一昨年、我が国の認知症国家戦略として、新オレンジプランを策定しました。その中で、若年認知症の方、私も何人かの若年認知症の方からお話を伺ったことがございますが、特に就労や経済的な問題、社会参加など、さまざまな課題を抱えることから、施策強化を大きな柱として位置づけました。この新オレンジプランに基づき、相談窓口を設置し、医療、福祉、就労に関する相談や就労継続へ向けた企業との調整など、総合的な支援を行ってまいります。認知症の方の生活を支える上でICTの活用もその一つの手段になり得るものであり、認知症の人がそれぞれ自分らしい生活を営めるよう支援してまいります。」と答弁した。これに関連して、以下質問する。

 

一 答弁にある「認知症の方の生活を支える上でICTの活用もその一つの手段になり得るものであり、認知症の人がそれぞれ自分らしい生活を営めるよう支援」する方策として、具体的に、どのような政策を実行に移したか。

 

二 「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~)」では若年性認知症施策として「都道府県ごとに若年性認知症の人やその家族からの相談の窓口を設置」とある。

 1 現時点における都道府県ごとの相談窓口の設置状況は如何。

 2 相談窓口未設置都道府県における未設置の理由は如何なるものと政府は承知しているか。

 

三 「新オレンジプラン」では都道府県ごとに設置される若年性認知症の人やその家族からの相談窓口に、若年性認知症の人の自立支援に関わる関係者のネットワークの調整役、いわゆる若年性認知症支援コーディネーターを配置することになっている。

 1 現時点における若年性認知症支援コーディネーターの配置状況は如何。

 2 各都道府県における若年性認知症支援コーディネーターの配置人数は、政府として適当と考えるか。

 3 各都道府県における若年性認知症支援コーディネーターの配置に関し、今後政府として都道府県に対し、如何なる支援を行う予定か。

 

四 若年性認知症の人に対し、障害者手帳取得等の従前ある制度とは別に、税や保険料の軽減など、新たな経済的支援制度を政府として検討する考えはないか。

 

五 若年性認知症と診断された人が、それを理由に雇用主から解雇されないようにするための、政府の施策は如何。

 

六 若年性認知症により離職した人に対する、政府としての再就職支援策は如何。

 

七 「新オレンジプラン」には、「若年性認知症の人やその家族が交流できる居場所づくり等、若年性認知症の特性に配慮した就労・社会参加支援等を推進」とあるが、実際に居場所づくりに取り組んでいる地方公共団体への財政支援の現状は如何。また、現在の財政支援の規模は適正か、政府の見解を問う。

 

 右質問する。

衆議院議員木錬太郎君提出若年性認知症に関する質問に対する答弁書

平成30年6月8日

 

一について

 認知症である者の生活を支える上で、ICTの活用もその一つの手段になり得ることから、平成三十年度厚生労働科学研究費補助金による「外出が困難な認知症高齢者へのAIを用いた介入手法の開発と、遠隔AI操作によるコミュニティづくりの研究」において、ICTを活用した認知症高齢者による外出等の疑似体験、高齢者間のコミュニティ形成等に関する研究を行っている。

 

二について

 認知症介護研究・研修大府センター(以下「大府センター」という。)が実施した「若年性認知症支援コーディネーターの配置に関する調査」(以下「調査」という。)において、平成二十九年十月一日時点で「若年性認知症の専用相談窓口を設置している」又は「若年性認知症の専用相談窓口は設置していないが、認知症全般の相談窓口で対応している」と回答した都道府県の数は四十五であり、「若年性認知症の相談を受ける窓口はない」と回答した県が当該窓口を設置しない理由については、「若年性認知症支援コーディネーター未配置のため」及び「予算の確保が困難」との回答があったと承知している。

 

 

三の1について

 若年性認知症支援コーディネーター(以下「コーディネーター」という。)については、調査によると、平成二十九年十月一日時点では、四十一都道府県において合計七十五人が配置されていると承知している。また、平成二十九年度末時点では、四十三都道府県においてコーディネーターが配置されていると承知している。

 

三の2について

 お尋ねの「適当」の意味するところが必ずしも明らかではないが、コーディネーターが配置されている都道府県においては、その状況に応じて、必要と判断された人数のコーディネーターが配置されているものと考えている。

 

三の3について

 各都道府県におけるコーディネーターの配置に要する費用の一部を補助するとともに、大府センターが行うコーディネーターに対する研修等に対し補助を行っているところであり、平成三十年度においてもこうした支援を行うこととしている。

 

四について

 お尋ねの「新たな経済的支援制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点において、若年性認知症であることに着目した税や社会保険料の新たな軽減について検討を行う予定はない。

 

五について

 若年性認知症と診断された者が、それを理由に事業主から解雇されないようにするためには、事業主に対して若年性認知症についての理解を促していくことが必要であり、厚生労働省においては、大府センターによる若年性認知症に係る企業向けのリーフレットの「サンプル」の作成等に対して補助を行ったところである。また、都道府県においては、必要に応じて、企業等への研修の実施等により、当該理解を促進するための普及啓発を行っていると承知しており、同省においては、当該研修に要する費用の一部を補助しているところである。

 

六について

 厚生労働省としては、事業主に対し、その雇用する若年性認知症者(六十五歳前に発症した認知症の患者であって、六十五歳未満のものをいう。以下同じ。)が精神障害者保健福祉手帳を取得した場合には、障害者雇用率制度及び障害者雇用納付金制度に基づく助成金の支給の対象となることを周知するとともに、若年性認知症者本人に対し、公共職業安定所等において、コーディネーター等と連携しながら、職業紹介、職業指導等の支援を行い、若年性認知症者の雇用の促進に努めているところであり、今後とも、これらの施策に取り組んでまいりたい。

 

七について

 お尋ねの「地方公共団体への財政支援」については、認知症総合戦略推進事業における取組の一つである「若年性認知症の人の社会参加活動の支援」において、都道府県及び指定都市が、若年性認知症者が集まって定期的に行う社会参加活動を支援する場合の費用の一部を補助することとしている。また、平成三十年度予算においては、認知症総合戦略推進事業全体として約三億三千百万円を計上しており、必要な予算が確保されているものと考えている。